新介護制度が来年度から

200年に始まった介護保険制度は高齢社会の到来を前提にして在宅介護と中心に、施設介護を補完的にした制度設計のもとで40歳以上の皆保険制度として始まりました。
以来14年を経過して今やいかにして制度を存続させるか、大変な岐路に立っています。
一方では増大する介護需要、他方では介護分野での負担増が著しく超高齢社会の到来で苦境に陥っています。
この介護保険料は、2000年には2911円(全国平均)でしたが徐々に増額になり、現在の第5期は4972円になり、団塊世代が75歳以上となる2025年には8200円にまで上昇する見込みと予測されています。
今年4月に導入された消費増税では増収分を「社会保障の充実・安定化」に充当することが名目でした。
しかし介護分野では給付減・負担増が避けられない事態を迎えています。
さる6月18日に成立した医療介護総合推進法は介護分野では2000年の制度創設以来初めての大改正になります。
制度改革の柱は4点です。
①利用者の自己負担割合が一律1割から年金収入により2割になる。(年金収入が単身で280万円以上が該当。夫と専業主婦の妻のモデル世帯では「年収359万円以上」が該当)
②特養ホームや老健施設利用者で預貯金が1千万円超あれば部屋代・食事代の補助を打ち切る。(部屋代4万円→6万円。食事代2万円→4万2千円。いずれも月額で全額自己負担になる)
③特養ホームへの入所が原則として「要介護3以上」になる。
④「要支援1・2」の軽度者向けの通所・訪問介護を15年度から3年かけて全国一律サービスから市町村の地域支援事業に移行する。
サービスと制度持続の両立が課題
来年8月から実行に移される新介護制度は必要なサービスは確保しながら同時に持続可能性も求めるという難しい課題を抱えてのスタートとなります。
先述③では特養ホームへの入所が軽度者は対象から外れる。
④では市町村の実情に応じたサービスという名目での市町村への介護の押しつけとして地方からの批判が強まっています。若林かずおも批判的に見ています。
介護保険制度が全国一律のサービスを前提として成り立つのに、これですと地域間の格差が広がることが懸念されるからです。
給付減と負担増、利用者(将来の皆さんも含め)にとっては厳しく苦しい介護の新制度になります。